HEMS,分岐別消費電力,行動推定

低粒度な分岐回路電力データを用いた家庭内行動認識手法

近年,家庭内の電気やガスの使用量をモニタリングし、家電機器を「自動制御」するシステムであるHEMS(Home Energy Management System)が普及しつつある.政府は「グリーン政策大綱」にて2030年までに全世帯へHEMSを設置することを目標としていることから,HEMSがこれまで以上に普及し,活用されることが望まれており,HEMSによって計測,記録された部屋やフロアといった区画や専用コンセント毎の消費電力を利用した,新しいサービスが期待される.

HEMSなどによって集計される消費電力情報を用いたサービスの要素技術の一つとして行動認識が挙げられ,HEMSデータから居住者の行動を特定できれば,居住者へのエネルギー使用量のフィードバック,エネルギー利用傾向による消費者プロファイリング,エネルギー需要の短長期予測の高精度化など多様な応用が期待できる.デマンド予測のみならず,顧客プロファイリングやターゲットマーケティングなどのビッグデータ活用,世帯の行動傾向推定や高齢者見守りを含むリモートヘルスケアなどが低コストで実現可能となる.

これまでに,家庭内消費電力データに基づく様々な行動推定が研究されてきているものの,先行研究はいずれも時間的粒度が比較的高い電力データを想定している.

本研究では,HEMS住宅分電盤から得られる,分岐回路別の30分毎の累計消費電力情報のみから家庭内行動推定を行う手法を提案する.

この手法では行動毎に低粒度でも認識可能な特徴量を特別に設計し,転移学習を用いて各行動の推定を行う.

  • 田中 福治, 石津 紘太朗, 水本 旭洋, 山口 弘純, 東野 輝夫「低粒度な分岐回路電力データを用いた家庭内行動認識手法」, マルチメディア,分散, 協調とモバイル (DICOMO 2021) シンポジウム論文集, pp.1391-1399,情報処理学会, 2021 年 7 月 , 最優秀論文賞
  • 田中 福治, 水本 旭洋, 山口 弘純「 HEMS電力データを用いた家庭内行動認識手法の実家庭における評価」, マルチメディア,分散, 協調とモバイル (DICOMO 2022) シンポジウム論文集, pp.389-399,情報処理学会, 2022 年 7 月 
  • 田中 福治, 水本 旭洋, 山口 弘純「低粒度な分岐回路電力データを用いた家庭内行動認識手法」,情報処理学会論文誌, 64巻, 4号, 2023 年 (予定)


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