次世代の交通システムはスマートシティやSociety5.0における重要なコンポーネントであり,その実現に向けて様々な研究開発が行われている.EVの普及によるCO2排出量削減量の検証などを始め,それらの取り組みの多くは,地域や都市レベルの大規模なミクロ交通データを活用し,課題発見や全体最適化などを行うことを想定している.しかし,個々の車両の挙動データを地域レベルで収集することはコストやプライバシの観点から容易でない.本研究では,地理的に分散配置された複数の交通監視カメラから得られる映像を解析し,そこから得られるデータを用いて対象地域全体の車両モビリティを自動的に合成する手法を提案する.提案手法では,それらの固定カメラから得られた映像に対し,通行車両数や方向,速度を抽出する映像トラッキングを適用する.また,市街地における車両の発着地点間の経路候補をマクロ交通シミュレータを用いて探索する.最後にミクロ交通シミュレータを用いて,測定した交通量と生成した交通量間の平均絶対パーセント誤差 (MAPE) が最小となるよう,ミクロ車両モビリティを生成する.
本研究で得られた再現モビリティデータはここで公開している.
発表論文
- Kazuki Hayashi, Akihito Hiromori and Hirozumi Yamaguchi (Osaka University, Japan); Masaki Suzuki and Takeshi Kitahara (KDDI Research, Inc., Japan, "Synthesizing Town-scale Vehicle Mobility from Traffic Surveillance Cameras: A Case Study", Proceedings of the 2022 IEEE International Workshop on Pervasive Computing for Vehicular Systems Co-located with IEEE PerCom 2022, pp. 593-598