言語モデルを活用した適応型メッセージスケジューリング

この研究では、次世代の世界気象IoTデータ交換システムである WMO情報システム2.0(WIS2.0) のブローカーにおいて、システム内のサブスクライバーが要求するメッセージの時間制約(デッドライン)を満たすための適応型メッセージ配信メカニズムを提案しています.
WIS2.0は世界規模の異種混在システムであり、各ブローカーはサブスクライバーごとに異なる時間制約やデータサイズを持つメッセージ(データ)配信の要求を処理する必要があります
そのため、パブリッシャーの配信タイミング、サブスクライバーの処理能力、ネットワーク帯域幅、メッセージの種類、データ量などを考慮したメッセージ配信のタイミングを適切な制御が必要となります.
そこで、本研究では強化学習(Reinforcement Learning)を活用したアプローチを採用し、パブリッシャーからのメッセージ到着パターン、サブスクライバーのアプリケーション層ACK(A-ACK)の遅延、送信ウィンドウサイズを監視することで、メッセージ送信の最適なタイミングを学習します.
さらに、A-ACKの遅延はメッセージの内容に依存するため、本手法ではメッセージの内容を自然言語で記述する「Topic」を活用し、A-ACKの応答時間を予測するコンテンツ認識型予測(content-aware prediction)を導入します.



関連論文

  • 小関廉, 廣森聡仁, and 山口弘純. "Pub/sub モデルにおけるリアルタイム配信に向けた強化学習ベースの制御手法の検討." 研究報告高度交通システムとスマートコミュニティ (ITS) 2022.10 (2022): 1-8.
  • 小関廉, 廣森聡仁, and 山口弘純. "言語モデルによる付加情報を用いた pub/sub システムのメッセージ制御." 研究報告マルチメディア通信と分散処理 (DPS) 2023.10 (2023): 1-8.
  • 小関廉, 廣森聡仁, and 山口弘純. "即時性の高い広域情報を扱う pub/sub システムにおける適応的メッセージ制御." 研究報告モバイルコンピューティングと新社会システム (MBL) 2023.34 (2023): 1-8.
  • Ozeki, Ren, Akihito Hiromori, and Hirozumi Yamaguchi. "Adaptive Pub/Sub Message Delivery for World Weather IoT." GLOBECOM 2023-2023 IEEE Global Communications Conference. IEEE, 2023.


キーワード

WIS2.0 Pub/Sub 強化学習

その他の研究トピック

WiFi RSSI統合型視覚言語モデルによる屋内物体認識

WiFi RSSI統合型視覚言語モデルによる屋内物体認識

本研究は、視覚言語モデル(Visual-Language Model, VLM) を活用し、屋内環境における物体の自動識別および分類を行う新しい手法を提案する。従来の手法では、各物体を手動でラベリングするコストの高さや、記述の曖昧さが課題と...

三次元点群からの形状特徴に基づく被災者判定

三次元点群からの形状特徴に基づく被災者判定

日本では毎年多くの災害が発生しており,大規模地震の発生も頻繁です.特に,阪神淡路大震災の事例からも分かるように,被災者の発見が遅れると生存率が大幅に低下するため,迅速な捜索活動が求められています.ドローンは柔軟な捜索が可能であることから,近...

機械学習による道路ネットワークを考慮した低粒度GPS軌跡データの復元手法

機械学習による道路ネットワークを考慮した低粒度GPS軌跡データの復元手法

プライバシー保護とデータ有用性のバランスを考慮し、切り捨てられた低解像度のGPS軌跡データを高解像度に復元する新たなシステムを提案する。本システムは、Transformerとグラフ畳み込みネットワーク(GCN)を統合し、軌跡データの時系列依...

ニューラルネットワークを用いた歩行流制御施策の最適化

ニューラルネットワークを用いた歩行流制御施策の最適化

スポーツイベント,コンサート,ライブパフォーマンスなどは多くの人を集め,そのようなイベント終了後の帰宅時の人の密集は,転倒事故,緊急時避難の阻害,犯罪の危険性など,人々の安全が脅かす可能性を高める.そのため、適切な群衆誘導や交通計画、警備の...

BackscatterによるWi-Fi CSI行動認識

BackscatterによるWi-Fi CSI行動認識

Wi-FiのCSI(チャネル状態情報)を使用した活動認識は、低コストでWi-Fiデバイスのみで高齢者の監視などに利用できるため、注目されています。しかし、CSIベースのセンシングの精度とカバレッジは、環境内のWi-Fiデバイスの数に依存して...

三次元点群に基づく転倒検知

三次元点群に基づく転倒検知

高齢者にとって転倒は重大な健康リスクであり,WHOは転倒が世界で2番目に多い偶発的な死亡原因であるとしています.特に日本では,高齢化が進むこともあり,家庭内での死亡事故の主な原因となっています.転倒は骨折や頭部外傷を引き起こし,要介護状態や...