デジタルツイン技術は,物理空間の対象やシステムを仮想空間に再現し,振る舞いや状態をリアルタイムで連携する技術として注目されている.本研究室においても,スマートシティ基盤技術開発の一環として,人流デジタルツインに関する研究が行われており,LiDARセンサを用いて建物内での歩行者の位置を検出・追跡する「ひとなび」というシステムの開発が行われている. そこで本研究では,ひとなびから得られるビル内の歩行者の位置座標をもとに,人流予測を行い,それらの情報をコストの値に反映させる,人流デジタルツインを活用した適応的屋内ナビゲーションシステムを提案する.同システムでは,まず建物を scaniverse によりスキャンし,Unity 空間上に再現する.再現された建物内にひとなびから得られる人流を反映させる.この空間上で経路の計算を行う.その際人が移動する際に負担となる,経路上近辺に存在する人の密度,移動中にすれ違う人の量,移動中に追い越さなければいけない人の量,移動中に経路上で人が発生する確率,物理的な距離の
5点をコストとするグラフを作成した.それとともに,グラフ上で A*アルゴリズムによりコストが最小となるルートを探索するアルゴリズムの設計を行っている.
発表論文
- 矢野敦大, et al. "AR ヘッドセットによる屋内ナビゲーションシステムの構築." 研究報告高度交通システムとスマートコミュニティ (ITS) 2024.8 (2024): 1-1.