本プロジェクトは、総務省「電波資源拡大のための研究開発」において採択された研究開発課題「低軌道衛星と地上端末直接通信における周波数共用を可能とするナローマルチビーム形成技術の研究開発」です。インターステラテクノロジズ株式会社を代表機関として、岩手大学、大阪大学、東京工業大学、奈良先端科学技術大学院大学、新潟大学の5大学が連携して研究開発を進めています。
近年、低軌道(LEO)衛星を活用した通信サービスへの期待が高まっています。LEO衛星は静止軌道衛星と比較して低遅延かつ広帯域の通信が可能であり、スマートフォンなどの一般的な端末と衛星が直接通信する「Direct to Device(D2D)」通信の実現が期待されています。しかし、従来のスマートフォンが使用する電波と衛星が使用する電波の周波数帯は異なっており、D2D通信を実現するためには周波数共用技術の確立が不可欠です。

本研究では、多数の超小型衛星によるフォーメーションフライト(編隊飛行)全体を一つの大型アンテナとして機能させるための基礎技術確立を目指しています。具体的には、ナローマルチビーム形成による高精度な電波指向制御、衛星間の無線系・情報処理系の基礎技術確立、地上の既存無線システムとの周波数共用技術などに取り組んでいます。
これらの技術により、現在の衛星通信では実現できない、地上通信網と同等の高速大容量および多数同時接続の達成を目指しています。本プロジェクトの成果により、専用アンテナを必要としない次世代衛星通信の実現が期待され、災害時や山間部・離島など通信インフラが整備されていない地域でも、スマートフォンで直接衛星と通信できるようになります。
本研究室の取り組み
大阪大学 山口研究室では、フォーメーションフライトによる衛星群アンテナシステムの評価・シミュレーション技術の研究開発を担当しています。多数の衛星が協調して動作する際の通信性能評価や、ビーム形成アルゴリズムの最適化などに取り組んでいます。







