セマンティック通信による多端末連携型の状況理解と消防システムへの適用

本研究プロジェクトでは、各地で被災状況を取得する各端末が,得られた被災状況の映像からの状況要約を行い,重要度を判断する。DR-IoTやLPWAなど帯域が限られた非常時通信網上で,多地点の多数端末が発する要約情報を,重要度に応じて効率よく集約する「セマンティック通信技術」の開発を行います。

セマンティック通信とは

セマンティック通信とは、情報の「意味」に基づいて通信を最適化する通信方式です。従来の通信がデータを正確に伝送することを目的としていたのに対し、セマンティック通信は伝えたい意味や目的を正確に理解させることを重視します。

各端末がAIによって情報の意味を理解し、重要度に応じて必要な情報のみを伝送します。例えば、被災状況の映像伝送において、従来は映像全体を送信していましたが、セマンティック通信では「建物倒壊、負傷者あり」といった状況要約のみを送信します。受信側は共通の知識ベースを用いて、この要約から状況を理解します。

これにより、帯域が限られた通信環境でも多数の端末からの情報を効率的に集約でき、通信量の大幅削減、低遅延化、省電力化が実現できます。災害対応のほか、6G通信やAI間通信、自動運転などへの応用が期待されています。