人の行動やモノの状況認識に関する研究はカメラを用いたものやウェアラブルデバイスを用いたものなど様々な方式が存在しますが，それらにはプライバシの問題や充電や電池交換が必要であるといった課題があります．
上述の課題を解決する手段としてBackscatterと呼ばれる技術を利用したタグを開発しています．Backscatterは鏡の反射のように，周囲の電波に影響を及ぼす状態とそうでない状態を切り替えて通信する超低消費電力の通信技術です．
このタグを用いてセンシングを行うために，タグが周囲の電波を反射していることを正確に認識する必要があります．
本研究ではタグの反射波を検出してどのタグが反射を行なっているかを特定することを目指します．
複数のタグを使用し，それらを区別するためにタグは各々固有の周波数を持ち，その分だけ周波数をずらして反射します．そのため受信した信号が元の信号からどれだけ周波数が離れているかを見るとどのタグが反射した信号かを特定することができます．
また，一般のWi-Fiパケットは周波数帯域が広く周波数をずらしても判別が難しいため，単一の周波数の信号のみを含む正弦波フレームを使用します．
距離が離れるとタグの反射波の強度が下がるため，この正弦波フレームを反射した信号を一定時間分足し合わせることでノイズからの分離を行います．
